江戸川学園取手小学校

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「心しずまる話」校長室から33

流行に遅れないようにと、ときどき話題の映画を見に行きます。映画に刺激されて、今、旅行をするなら、実在しなくても飛騨高山の糸守町に行ってみたいと思っています。
 昨年の夏休みに読んだ本で、いちばん泣けたのは、「聖の青春」(大崎善生作)でした。29歳で早世した将棋の村山聖(さとし)八段をモデルとした、この小説は映画化され、11月に公開されました。すぐさま、映画館に出向きました。【写真の文庫本と映画パンフレット参照】
 怪童と呼ばれた天才棋士村山聖(1969~1998)と、同じく100年に1人と言われる天才棋士羽生善治は、「東の羽生、西の村山」と並び称さるライバルでした。村山少年は、幼少期より腎臓の難病・ネフローゼ症候群を患い入退院を繰り返していました。病床で覚えた将棋に心を奪われ、将棋界の最高峰「名人」を夢見て、まっしぐらに突き進みます。自らの命を削りながら、病と戦い、将棋で戦いましたが、名人への夢半ばで、いや夢叶う直前で倒れました。
 原作の本には幼少の頃から、亡くなるまでのことが詳しく描かれているのに対し、映画では晩年の4年間にフォーカスされた壮絶な人生が描かれています。晩年の生きざまに絞られていますので、当然ながら感動が薄くなります。小さい頃からの苦しみや喜びが表現しきれないからです。「原作の方が断然おもしろい」が、鑑賞直後の感想でした。
 作品内容と別の意味で感動を覚えたのは、主演の俳優・松山ケンイチが、ネフローゼで丸くなった身体をつくり、静かな中にも鬼気迫る熱演していたところでした。役作りのために、自分の体を変えたところに「役者魂」を感じ、心を動かされたのです。「映画はおもしろい」という感想を持ちました。
 小さい頃は、映画を見てから原作を読んで、この本はおかしいと思ったこともありました。原作を読んでから、映画を見て、この主人公はおかしいと思ったこともありました。原作が先か、作品(映画や演劇、テレビドラマ等)が先か、どちらも楽しみたいと想う今日この頃です。 (若林)

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